本日は意外な切っ掛けから知ってしまった気になる人の誕生日のお話しです。
プレゼントを贈ることは出来るでしょうか。
「こんにちは。こちらにお名前をお願いします。保険証はお持ちですか?」
「検温をお願いします」
「ありがとうございました。お大事に。。。」
これが私の仕事、病院の受付。
衛生面には気を使い、覚えることは多く、仕事は予想以上に大変。
毎日追われるように時間だけが過ぎていく。
でも週に一度だけ私には楽しみがあった。
毎週水曜日、医療器具などを扱う取引先の営業マンのSさんが消耗品の補充などにやってくる。
陽気な人でいつも楽しそうに話しかけてきてくれる。看護士、医療事務スタッフ、全員からきっと好かれていると思う。
「お疲れさまです!〇〇の補充終わりました。
あと、これどうぞ!」
そう言って、冬にはのど飴、夏には保湿サプリメントの試供品などをくれる時がある。
普段の陽気さと仕事の真剣さ、そのギャップがまた良い。
「Sさん、今日は遅いねぇ。」
「あれ、さっきいらしてたわよ!」
「え~そうなんだ。残念、今週は会えなかった~>_<」
若い看護士達は毎週こんな話しをしている。
仕事を終え、帰りがけに病院近くの自販機でお茶を買っていると、見慣れた営業者が停まった。
「毎度~!」
「あれ、Sさん、今日は水曜日じゃないのに。。。」
「あ~、いや、今日は別の病院の帰り。お仕事終わったんですか?」
「はい、今帰るところ。。。」
「会えて良かった。これ、プレゼント!」
「え!!何ですか?何で私の誕生日知ってるんですか!」
「は?」
「え?」
「誕生日?今日??」
「え?そうじゃなくって・・・^^汗??」
「いや、ね、新聞の勧誘の人に映画の前売り券貰ったんだけど、僕行く時ないし、
実はあさってまでなんだよね。この映画。
もし良かったらこれあげようと思って・・・
誕生日なの??」
「あ、はぁ、、今日なんです。。。」
「まぢっすか!?彼氏さんと行っといで!」
「いぇ。。今は。。。」
「あ、じゃぁお友達と。」
「でも明後日まででしょ?平日だし。。。」
「そうだよね。。。」
「あ、でも、今から行きます。」
「ゴメンネ、それじゃ、誕生日おめでと!また水曜日にね!」
そういって彼はあっさり行ってしまった。
翌朝出勤すると大騒ぎ。
「ねぇねぇ、Sさんと何話してたの?」
「え!?何でそれを?」
「mさんが現場見たんだって。そこの自販機のところで。病院中噂だよ」
「実は映画のチケット貰っちゃって。。。
とても良い映画だったんだけど何かお礼しなきゃって。。。」
「女を上げるチャンスだね!」
「え、そんな。。。」
Sさんに好意は持っていたがみんなの憧れの人。
敵は多いがとりあえず簡単なクッキーを焼いてきた。
「あの間の映画、とっても良かったです。涙こらえるの大変でした。」
「そぉ?良かった~。僕も原作で読んでたからいつか映画見たいなって思ってるんです。」
「えー、それじゃぁ一緒に行けばよかったですね。。。」
「ちょっとそれも期待したんだけどな。。。」
「でも忙しいって・・・」
「あ、いやいや^^ このクッキー、もしかして手作り?」
「美味しくないですか?」
「いや、美味しい。感心しちゃった。」
「あ、ちょっとゴメンナサイ、電話だ。もしもし・・・」
「あー、すみません、母でした。」
「そのストラップ、トイプードル?」
「あ、はい、うちで飼ってるんです」
「写真見せてもらっても良い?」
「いいですけど。。。」
「あ、そうだ、メール送ってもらえる?」
「え?」
「早く早く、僕のアドレスこれ」
「え、あ、はい。」
そして数日後、Sさんからメールが入ってきた。
誘われるままに行ってみると、、、
「え、何ですか?これ!」
「誕生日プレゼントが映画のチケットじゃぁ申し訳ないかと。。。」
「え~、良いですのに、、、そんな申し訳なくて受け取れないです。」
「いいから、あけてみて」
中身は愛犬マロンのひざ掛けだった。
「受け取れない?返してもらおうか?」
「いや、いやいや、これは受け取れます^^」
その時頂いたのがこのひざ掛け。
その日以来、良く連絡を取り合うようになり、私たちはお付き合いをするようになった。
後で聞いたのだが、職場の皆さんは少し前から、私の事を彼から時々聞かれていたらしい。
でも私の誕生日は誰も知らないはず。
あの日の映画のチケットは、偶然?
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トイプードルのマロンにモデルになって頂き、本日の物語を書いてみました。この物語りはフィクションですが、登場するひざ掛けは本物で、当店で人気の商品です。
ペットの写真で作るオリジナルひざ掛け、プレゼントにいかがでしょう。