本日は失恋した友達へ贈る、応援のメッセージをこめたプレゼントのお話です。
目いっぱい落ち込んだあとは元気出して、きっと素敵な笑顔になろうね☆
僕の職場は家から歩いて5分ほどのところ。
両親が経営する工務店。僕はまだまだ見習いの3年目だ。
去年から家で雑種犬を飼い始めた。名前はタロ。タロと一緒に自宅と会社を行き来する毎日だ。
休憩時間にはタロとじゃれ合い、夕方には散歩に行く。
お客様がいらしたら愛想良く尾を振り、良い子にしてお座りをする。
基本、あまり吠えない。
「おはよー」
「あぁ、おはよ。今日もいい天気だね」
たまに朝早く出勤すると、近所の同級生の女子、Mさんに会う。
渋滞が苦手で朝早く出勤しているそうだ。
僕達は中学高校が同じだったが一度も同じクラスになったことは無く、もちろんほとんど話しをした事も無い。名前と顔を知っているくらいで、たまたま近くに住んでいるだけという程度の友達。
「おはよう。」
それ以外の会話はほとんどした事が無かった。
ある日の午後、タロとじゃれていたらMさんが歩いていた。
「あれ、今日は休み?」
「あ、うん、平日に休みがあるんだ。」
「へー、仕事何やってるの?」
「あぁ、介護士。土日の勤務もあるから・・・タロちゃん、だよね?」
「何で名前知ってんの?」
「おばさんに聞いた」
「ウチのおかぁに??」
僕の知らない時にMさんは時々遊びに来ていたらしい。
犬っていうのは不思議なもので、今まで共通の話題が無かった二人でも犬がいると会話が生まれる。
Mさんが犬好きだったということもあるが、タロを挟んで話しているうち、『あ~、Mさんってこういう人だったんだ』と思うようになった。
「え~、じゃぁ、あのトイプードル散歩しているおばさんってMさんのお母さん?」
「うん、多分そうだと思う。」
「マロンって子でしょ?」
「うん、そうだよ。繋がったね(笑)」
Mさんはトイプードルを飼っていた。
犬の話や仕事が大変な事、最近習い事を始めた事、そして時々彼氏と上手く行ってない事など、色々な話をするようになった。
「落ち込んだ時はマロンに癒してもらい」
「それがね、私の気持ち見透かされているみたいで、最近遊んでくれないんだ」
「そんなことってあるの?猫じゃあるまいし。おやつとかあげてみたら?」
「うん、とりあえずおやつだけ食べてすぐ逃げちゃう。
こっちが気が乗らないときって、犬もあまり遊びたがらないのかなぁ。。。
その点、タロはいつも愛想良いね。」
「この子は誰にでも愛想良いよ。お客さん来たってちっとも吠えないし」
ある日、仕事中に外を見たらMさんが来ていた。
「また遊びに来てる」
でも、しばらくしてまた外を見ると、Mさんがまだいる。
夕方までずっといたので話しかけてみた。
様子が変なので話しを聞いてみるとどうやら彼氏と別れたらしい。
特に取り乱す様子は無いが声が小さく、いつもとは別人のようだった。
少し前からもうダメかなぁって思っていたらしい。
それから2週間ほど経っただろうか、Mさんが遊びに来た。
「お、久しぶりだなぁ」
「あ、こんにちは。」
「元気そうじゃん。」
「ごめんね、こないだは、ヘンな話しして。」
「マロン元気?この間おばさんが散歩してた時写真撮らせてもらったよ」
「あ、うん、お母さんから聞いた。写真写りよくないでしょ、あの子」
「そんなこと無いよ、まぁ、動き回るから難しかったけど^^
あ、ちょっと待ってて、渡したいものがある」
僕はマロンの写真で作ったひざ掛けをプレゼントした。
「心が辛いと気ってさ、自分の気持ちが少しずつ優しくなっていってる時なんだって。
その時期を乗り越えたらまた良い出会いがあるよ、きっと。
マロンもMさんの笑顔待ってると思うよ!」
今月が誕生日だとは知っていたが日にちまでは分からない。
特に誕生日だからと言うことは告げず、応援のメッセージという気持ちでのプレゼントにした。
それからまたいつものようにMさんは遊びに来てくれるようになった。
会うたびに彼女の笑顔が明るくなるのがこっちも嬉しくなる。
今すぐに、とはなかなか行かないだろうが、少しずつ笑顔を取り戻し、元気になって、また良い人に出会えるといいね☆
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
本日の物語りは失恋した友達を元気付ける、応援の為のプレゼントという設定でひざ掛けのご紹介をさせて頂きました。
当店では元気の無いお友達へのプレゼントとして作成される方もいらっしゃいます。失恋した時やペットが亡くなったときの悲しさを分かってくれる友達がいるって素敵な事ですね。